去る者追わず

夏の陣が全部終わったから書く。
ちょっとアレな内容だから、すぐ消すかもしれない。




とあるオケのびよら団員を、ひとり退団させちゃった。
いや、別においらだけが理由ではないと思うが、おいらが引導を渡した一人であるのは間違いないかと。


練習する時間が欲しくて防音室付きの部屋を借りて一人暮らしを始めたくらいだから、大いなる情熱を持ってびよらに取り組んでいたはずだろう。
どちらかといえば弾ける部類に入る子だったし、彼女なりのプライドもあっただろう。
そして、どうやら今は大きな壁にぶち当たり、自分を全否定されたかのごとく悩み苦しんでる真っ最中。
まるで昔の自分を見ているようだ。


練習時間が足りないとか、技術的にできないことがあるとか、そんなことはどうでもよい。時間がないのは社会人なんだから当然だし、みんなできないことだらけなんだし。
だけどね、そこで、じゃあオケやパート、アンサンブルで求められることを果たすために自分でどうするべきか、できることを最大限活かして工夫しようという考えには至らなかったのかな。
できないものはできないと突っぱねたとして、それでストップしていいんだろうか。


そもそもおいらが彼女に指摘したことは、ずっと基本的なこと。
製本はしない、自席に譜面を持ってこない、合奏での指摘事項やトップの指示をほとんど書き込みしてない。
注意した翌週もやってこないって、どういうつもりかと。
頭の中には全部インプットされてるのか? とてもそういう弾き方には見えなかったけど。
他オケでトップやったことがあるのなら、あなたが後ろの人に同じことされたときの悲しさは想像できるよね?


オケに対する彼女のモチベーションは、あの頃とっくになくなってたのだろう。
逃げ出したい状況のなかで弾くのはとても辛い。それはおいらだってわかる、去年の夏がまさにそうだったから。
でも、少なくとも合奏に参加しているときは、最善を尽くし、最大限楽しめよ。できないなら、乗るな。
おいらは、追い込みの時期に入ってもなお意欲の見えない姿勢が許せなかったんだ。


本番前のステリハでも顔は合わせないし、ムスッとしてセンプレカスミッシモで弾いてたから、「その態度は迷惑だ、いいかげんにしろ」と怒鳴った。
(「帰れ」と喉元まで出かかったけど、さすがに自粛)
許されるのなら、胸ぐらつかんでぶん殴ってやりたかった。
おいら、ここまでマジになって人を怒ったことないと思うよ?


彼女、泣いてたけどな。
泣きたいのはこっちだよ。


あ、彼女の名誉のために一応フォローしておくと、本番はちゃんと音出してましたよ。


これは彼女のびよら人生の、大きなターニングポイントだと思う。
どの道を選択するかは、彼女次第。
願わくば、ふたたびその道とおいらの道が交わることがあったとき、お互い笑って楽しく奏でることができますように。